塗料の使われ方

塗料の使われ方〜自動車の塗装〜

自動車の塗装は、工業用塗料の中でも品質要求が厳しいです。

 

そして、高度な技術が求められます。

 

自動車の外板は、「下塗り」、「中塗り」、「上塗り」の
3層の構成になっています。

 

自動車の形に組み立てられた鋼板は、
脱脂、リン酸亜鉛などによる防錆処理(化成処理)された後、
下塗りの工程に入ります。

 

下塗り

 

下塗りには、電着塗料が採用されます。

 

電着塗料は、付着力や防錆力に優れた
エポキシ樹脂を水に分散したものです。

 

その浴槽の中に車体を浸漬して、通電し、
素材上に塗料を析出します。

 

下塗り塗装として最適な方法であるこの方法は、
袋構造部位への塗装も可能で、
通常、20μmほどの膜厚に塗装され、
180度程度で焼き付けられ、次の工程に移ります。

 

中塗り

 

中塗りは、自動車が走行中に小石などによって傷つき、
錆が進行しないようにするために、
石跳ね傷防止(耐チッピング)機能を備えるよう
ポリエステル・メラミン樹脂や、そのウレタン樹脂変性品によって
設計されています。

 

中塗りは、スプレー塗装で、
通常35μm程度の膜厚に塗装され、
140度程度で焼き付けられ、次の工程に移ります。

 

上塗り

 

上塗りは、美観を付与するもので、硬さ、雨、光、熱に対する
耐久性や耐擦り傷性など多くの高度な品質が要求されます。

 

上塗りとしては、白や赤のような着色顔料のみで構成された
「ソリッドカラー」と、
アルミニウム粉やマイカ粉などのフレーク顔料を含んだ
「メタリックカラー」があります。

 

ソリッドカラーは、主にポリエステル・メラニン樹脂系塗料が用いられ、
1層で約35μmの膜厚に塗装されます。

 

メタリックカラーは、アクリル・メラニン樹脂系塗料が用いられ、
ベースコートと呼ばれるフレーク顔料を含む層が約15μmと、
クリヤ層の約30μmを重ね塗りにし、
140度程度で焼き付けます。

 

そして、最近は、環境問題に配慮した自動車塗装が
行われるようになっています。

 

土壌や水質、大気汚染など、多岐にわたる対応が迫られる昨今、
自動車産業には、リーディング・カンパニーとしての対応が
求められています。

 

リーディング・カンパニーとは、
その業界をひっぱっていく役割を持つ企業のことをいいます。

 

ですから、自動車塗装業界においても、VOC削減に関する研究開発が、
とても期待されているのです。

 

自動車塗装と環境問題

 

塗料の環境問題の課題は、VOCです。

 

VOCとは、揮発性有機化合物のことで、言ってみれば溶剤のことです。

 

このVOCの削減が、最大の課題となっています。

 

自動車塗装では、メタリックベースコートから発生する溶剤量が多く、
198年代後半から欧米を中心に、
水性塗料化が検討し、実施されています。

 

メタリック塗料の外観品質を保つために、
この塗料はスプレー塗装する際は低粘度で、
塗料が被塗物に塗着したときには高粘度になり、
タレやアルミニウム粉のムラを防ぐ設計になっています。

 

中塗りの採用は、欧州、日本では主に水性塗料が検討され、
採用されていますが、
アメリカでは、粉体塗料の中塗りが採用されている場合が多いというように、
考え方や品質の捉え方に違いがあります。

 

また、クリヤコートを何にするかは最も難しい課題です。

 

日本の自動車メーカーでは、塗膜の品質を考慮し、
溶剤型のハイソリッド塗料で対応し、
改良を待って水性塗料を採用するとしています。

 

しかし、欧米では、下塗りから上塗り全工程の水性化、水性中塗り、
粉体クリヤコートの採用などの例があります。

 

水性か、粉体か、クリヤコートが最後の課題といわれ、
水性ベースコートは各国で採用されています。

 

そして、中塗り、ベースコート、クリヤコートを重ね塗りし、
同時に焼き付ける「スリーウェット方式」に近年は注目が集まっています。

 

車の塗装の補修

 

近年は、車の補修塗装は、ますます身近なものになり、
車の補修塗装の需要が増えています。

 

まず、補修程度の見積りをします。

 

補修の範囲は、全塗装なのか、ブロック塗装なのか、
スポット塗装なのかを判断し見積もります。

 

プレスラインが大きく損傷している場合は、
パーツ交換の必要があるでしょう。

 

スポット塗装や全塗装では、
まず小さい凹みや傷を見つけて、補修をしていきます。

 

この際、「凹みや傷を修復する一連の成形作業であるサンダーがけ、
パテ付け、研磨、色あわせ、スプレー塗装、研磨、磨き作業」などを行います。

 

パテ研磨作業を行うときは、手のひら全体をセンサーとして機能させることが必要です。

 

そして、補修部分を正常部と違和感のない形態に復元していきます。